「何度も言ってるよ?それは、あたしがここに来たかったから」
色んなことを考えたけど。
これが一番無難だったんだよね。
来たかったわけでもないけど、行くのが嫌だったわけでもない。
どうも思ってなかったんだ。
だから、ママの言うことに従ったし、異議なんかなかった。
「ほら、ここの文化祭、すごく有名でね友達に連れられて来たんだけど…」
あたしは “うそ” をつくとき、とても雄弁になる。
それでごまかそうって話だ。
だけど、このみ。
この人なにかと、聞いてくる。
同じ質問を繰り返しする。
まるで試すように。
同じ答えなのか、怪しむように。
だから、あたしは、何度も同じ話をする。
同じように繰り返す。
これが真実だよと、言うように。
流梨花は納得してるようだけど、この人だけは侮れない。
いつかほんとうのことを言いそうで怖い。