出会った初めの頃には、色々な人に忠告された。


獅獣には近づかない方がいい。

怖いことをされると、散々脅されたけれども。

入ってみたらまるで違って、ただ単にいい人の集団であった。

それは、勿論、暴力は良くないことだけど。

暴走族のくせして、彼らが喧嘩しているところをあたしはみたことがなかった。

特に獅獣の王様の仁のことは、女たらしとか、暴力で全てを解決するとか。

勝手なイメージばかりが目つきの悪さのせいで進行してはいたけれど。

本質は大切なものを守るために必死な男だった。

あたしを、仲間を、獅獣を。

この大人に侵攻されない、この世界を。

作り上げていたのは、目の前のこの男以外にいない。