キーンコーンカーンコーン……。


「ふわあ、眠かったあ。やっぱ保体はお経みたいだねえ」

「そう?楽しいけど」

「和佳菜ってちょっと変わってるよね」

6限が終わってこれから終会、そんな話をしている。

「仁さん、今日来ないね。どうしたの」

いつもだったらこの時間から仁は廊下で待っている。

「…何もないわ。でもきっともう来ないと思う」

獅獣との思いがけない別れから一夜が過ぎた。

一晩泣いた目は朝かなり腫れていたけれども、夕方になって仕舞えばかなり元の形に戻っていた。

そしてあたしは確信していた。

仁は、来ない。

知っている。

決別の印なのだ。

もう関わらないと。


「ほら、チャイムなるよ?早く戻らなくちゃ」

「あ、和佳菜ー」

戸惑った流梨花があたしの後を追おうした時、チャイムが鳴った。

「……なんかあったでしょ?後でじっくりと話聞いてあげるからねー!」

心配そうに眉を顰めた流梨花に曖昧な笑顔で返す。

ありがとう……。

だけど、これは言えないかな。


心が久しぶりに暖かくなった。