私、星野幸(ほしの さち)。高校二年生。
初めての恋は簡単なものじゃなかった。
私には好きな人がいる。それと私の事を好きな人がいる。自分で言うのもあれだが、簡単にいうと三角関係だ。
私の好きな人はある日、ヤクザの奴らに私が絡まれていた所を初めてあった私を助けてくれた山崎健(やまざき たける)高校三年生だ。恋愛漫画の様な話だけど現実に起こったのだ。
私の事を好きな人は、中学生から今まで同じクラスの佐藤賢人(さとう けんと)だ。2週間ほど前に中二の頃から好きだったと言ってくれた。嬉しかった。けど好きという感情はない。なのに、まだ返事もしてない。ほんと私、最低女だ。
***
「おーい!さち!おはよ。」
相変わらず明るく挨拶をしてくれる。賢人みたいになれたらいいのに。
「おはよ。」
私はあっさりした性格だと思う。挨拶もサッっと済ませてしまう。
「さちは、昨日のス〇ッとジャパン見た?」
「見た。面白かった。」
「だよね!なんと言っても司会者のツッコミが面白い!」
「うん。」
***
「健先輩、こんにちは。」
「おう!」
微笑んで手を振ってくれた。それだけで十分幸せだと思ってた。
それが、ある日健先輩が同い年のりな先輩と手を繋いでいた。美男美女で有名だったから、その話はすぐ広まった。
付き合っていると分かっていながら私は健先輩に告白した。
「健先輩が好きです。あの時先輩が助けてくれたおかげで今の私がいるんです。」
言ってしまった。先輩は困ったように笑っている。そりゃ困るよな。
「ごめんなさい。忘れてください。」
早足でその場を立ち去ろうとしたとき、手を掴まれて引き寄せられた。
「俺も、さちが好き。」
「けど、彼女さんいるんですよね。」
「いや、別れたよ」
そんなすぐに別れる?って思ったけど、どんな理由があっても好きと言ってくれたことに変わりないから浮かれて付き合ってしまった。それが間違いだった。
それからのこと肉体も精神もすべて健先輩に奪われてしまった。そんな人だとは知らなかった。もっとちゃんと知っとくべきだった。今日の放課後、体育館倉庫に呼び出された。
また…か…。そろそろ別れなきゃな。このままだと自分が自分じゃいられなくなる。

放課後
ガラガラ-
「来てくれてありがとう。それじゃ…」
「ちょっと待ってください。」
健先輩の言葉を切るように私が話を切り出した。
「健先輩と別れたいと思ってます。これからは前と同じように先輩と後輩という関係でいたいです。」
「どして…どうして、さちまで何処かに行こうとするの?」
急に後ろから思いきり抱きしめられた。逃げられない…どうしよ。
ガラガラ-
「せーんぱーい。それはヤバいっすよ。嫌がってるじゃ無いですか。離してあげましょうよ。」
賢人だ。いつもより声がワントーン低い気がしたけど、それどころじゃなかった。
「センパイ、ハナシテ。」
その後の記憶はない。
私は気を失って、それから健先輩を賢人がボコボコにしたとの事、大問題にはならずに済んだけど私も賢人も健先輩も先生からも親からもこっぴどく怒られた。
***
3年後
私に彼氏が出来た。
彼は大学二年生、同い年だ。
私は彼とは違ってすぐやりたい仕事があったから高校卒業してすぐ就職した。
彼が大学を卒業したら結婚したい思ってる。
今は同居して楽しく暮らしている。
「さち、仕事遅れない?俺ヤバイ遅れそう。」
「私もヤバイ、まって賢人、途中まで一緒に行こ」
そう、彼は佐藤賢人。あれから色々あってこんな形で暮らしてます。賢人も私もあれ以来少し性格が変わった気がします。私はさっぱりした性格が少しは柔らかくなったと思います。賢人は、どんな時でも明るいから、時には空気読めないような事言ってたけど、今はちゃんと場の空気を読んで発言してる様子です。
「賢人、お弁当ちゃんと食べてよ!」
「おう、ありがとう。さち、いってらっしゃい」
「行ってきます!賢人もいってらっしゃい」
「行ってきます。」