―女は、手を伸ばした。


侍女達が叫び、逃げていく―……。


「おかあ、さまっ……」


掠れた声。


苦しむ声。


「こんなこと、してっ、も、…帰って……っ」


女の白く細い指は、娘の首にくい込んで。


娘の話なんて、聞きやしない。


いや、事実、娘ではない。


―この子は、盗んできた子供だから。


一度は間違えてしまって、捨てたけど……ねぇ、本当にどうしてなの?


指に、力がこもる。


娘は必死に抵抗して、その苦しみから逃れようとする。


それに腹が立ち、また、締める。


「うっ……」


―この手の中にいる、殺そうとしている娘はあの女が来るまでは従順だったのに、あの娘と知り合ってからというもの、反抗するようになり始めた。


本当、迷惑千万。


近寄らないで、話しかけないでって、いつも言ってあったのに。


娘が死んだら、どこに隠そうか?


考えながら、娘の首を絞め続ける女。


「おかあ、さまっ……やめ……」


うるさい。


うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!!!!


どいつもこいつも、いつだって!


幸せなら、良いじゃない!!


どうして、私の邪魔をしようとするの!?