「……それで、どうして、私はここにいる?」


長い黒髪は結われ、背中に流され。


「あー?息抜きは大事だろーが」


「そうですよ、兄上」


「ほれ、お前の弟もこう言っていることだし!」


弟の秋遠共々、下町のどこにでもいる風な服を着せられた黎祥は三年前の名残である瓦礫に腰をかけて、蒼月達を見た。


「いや、何故、意気投合している。おかしいだろう。大体、秋遠は封土に帰ったんじゃなかったのか?」


「それが……一度は帰ったんだけど、報告しなければならないことが出来てね。すぐに参内することになって……兄上に謁見の許可を取ろうとしていた矢先、彼に出会ったんだ」


「……人の弟を巻き込まないでもらえるか、新陽国王」


「んな、他人行儀な言い方すんなよ。黎祥さん♪」


どこか能天気な蒼月はどこで買ってきたのか、串団子を口に含んで。


「兄上、これ、美味しいですね〜」


秋遠は既に買収済み、また、


「へ、陛下っ、どうして、私はこんなところへ―……」


何故か、旅太監―駿希は同じような格好で、戸惑いを隠せずにいた。


「……駿希を巻き込むな」


「お?だって、狼藉者とか呼ばれたから」


「私を拉致したんだ。そう言われても仕方ないだろ」


「でも、無意識なのか知らないが、その服に着替えたのは、お前自身じゃないか」


呆れたようにため息をつかれて、黎祥は下を見、翠蓮と下町で過ごした頃はよく着ていた服を眺める。