「えーと……この草が、腹痛?」


お妃教育休日。


今度は、翠蓮が指導側に立つ。


「そうです。けれど、石楠花の葉は食べてはいけませんよ。吐き気や呼吸困難を引き起こしますから。そして、なんにも考えずに燃やしたり、煮るのもダメです。炊き上がった煙が、猛毒である場合もありますから―……」


お妃教育休日は朝起きてから、午前中はずっとこんな調子。


ただ、ただ、情報を麟麗様たちの頭を叩き込む。


「これは、頭痛?」


「いえ、それは火傷薬ですね。絵を書いてまとめておくと、わかりやすいですよ」


「ふむふむ……うぅ、ごめんね。翠蓮」


「何がですか?」


「折角のお休みなのに、覚えの悪い弟子で」


はぁ、と、大きなため息をつく麟麗様。


(そんなことはないと思うんだけどな。元皇女にしては、吸収の早い方だ)


「気にしないで下さい。どっちにしろ、何かをしておかないと、私も落ち着かないですし。昼食をとったら祥基の話していた、姓を借りれるよう、とある家に頼みに行ってみましょう。帰り際、寄り道してもいいですよ〜」


「ん、ありがとう……頑張るね」


別に、家を貸しておくだけでもよかったんだが……どうしても、人の役に立ちたいらしくて。


そこで、翠蓮の知識の伝授である。