これから戦闘が始まる__かと思いきや、ラージュは彼らを背に、走って行った。

「「「...え」」」

彼らは疑問に思った。今回ばかりも男もわけがわからなかった。

だが、ラージュは走って行った先のコンテナに飛び乗り、そのままの勢いで、街頭のてっぺんに立った。

「おい待て、これから俺たちを捻り潰すんじゃなかったのか?」

男が街頭のてっぺんのラージュに言う。
ラージュは、

「よくよく考えれば、君らを相手にしてもメリットないし、別に強いわけでもないんだよね」

と、淡々と答える。


今この瞬間に音をつけるのであれば、



ポカン



だ。

ラージュは反対方向へと屋根を伝って行った。
このあっけらかんとでも言わんげな空間には、取り残された感が漂っている。

「...ええと......どう、します?」

部下が口を開く。
男はそれに、

「......、帰って、計画を練り直すぞ」

前髪をかきあげながら答える。
部下は声を聞いて、急ぎ足で車に乗り、気絶したお巡りさん____ケビンも乗せた。続き、男も乗り込み、その場を後にした。



月明かりの逆光を利用し、終始屋根からみていた少年をのこして_____。