勝ち組の中には、国が帰還船を出してくれると、待ち続けた人たちもいたそうです。

真知「でも……。いつまで経っても迎えの船は来なかった。国は、彼らを見捨てたのよ」

白浜が言う、賀太郎という人は勝ち組。
ジルバの死んだ夫の兄だった、と幸吉。
その賀太郎に、ブラジルから日本に戻るためのお金を、みんなだましとられてしまったジルバ。

幸吉「ようやく、なんとか乗れた船の上で、旦那も赤ん坊も死んで、無一文で日本にたどり着いた。
俺もそのことを知ったのは、ジルバが、上の部屋で、寝たきりになってからだ。昔のことは、言わない女だったからなぁ」

真知が、「この話はおしまい!」とパンと手をたたき、ジルバさんの過去の話は終わる。