ピピピッ、ピピピッ、ピ…ガチャ!



「うぅ〜〜」




うるさいなーと思って、寝ぼけ眼で目覚まし時計を止める。



窓からは朝の日差しが入り込み、外からはスズメの鳴き声が聞こえてくる。







ピンポーン




(誰だろ、こんな朝早くに……)




お母さんが対応している声を聞きながら、また夢の世界へ旅立とうとしていると、、、



「おはよう、うみちゃん」



「んー」



「うみちゃん、もう朝だよー、起きる時間だよー、遅刻するよー?」



「んーーー…今、何時?」



「7時半だよ?」



「はっ!やばっ!遅刻する!」



やっと意識が覚醒した。

焦りのあまり、あわあわと落ち着きがなくなる。



「うみちゃん、僕、下で待ってるね。」


「わかった!」




急いでパジャマを脱ぎ捨て、制服に身を包む。


教科書の準備なんてやってる訳がないので、机に開きっぱなしの教材をまとめ、時間割りを見ながら黒鞄に突っ込んでいく。



うわ、今日数学の小テストあるし…



バタバタと階段を駆け下りると、玄関で靴を履いて待っている空(そら)が手を振った。


「うみちゃん、弁当・水筒・朝ごはんは僕が持ってるよ。あ、あとハンカチ・ティッシュ・タオルも」



「あ、ありがとう!!」



なんて出来た子なんだろう…!!

完璧過ぎる!



「「いってきまーす」」


「行ってらっしゃい」




2人で玄関を出るとき、お母さんがリビングから顔を出して手を振った。



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「また海美(うみ)は寝坊したのか」


海美の父がボソッとつぶやく。


「まぁ、海美が遅い時は空くんが迎えに来てくれるから、大丈夫よ。」


海美の母は、ふふふ、と笑ってそう答えた。


「空君には、感謝してもし足りんな。」



「ええ。ほんと、海美を貰ってくれたら安心なんだけどねぇ〜」


ゴホッ



海美の父は飲んでいたコーヒーを吹き出した。



「あら、小さい頃はいつも2人で言ってたじゃない、結婚するんだーって」



「……それは昔の話だろう……」



「でも、空くん以外に海美を任せられる人、そうそういないと思うけどねぇ〜」



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