「でしょ!?いや知ってたけどね!?」

休み時間。
2組の教室の前の廊下で大きな声を上げてしまった為か盛大に目立った少女。
そして彼女につらつらとよくもそんなに噛まずに言えるものだと感心させられるほどのマシンガントークをぶつけられるもう一人の少女。

「はいはい、分かったから、でもお願いだからこれ以上目立つ事をするな害児め……」

もう聞き慣れたかのように薄い反応をされ、害児と言われたマシンガントーク女子、そして学校内で有名な五大ヲタクのうちの1人。
五橋中学3年生、神田 遼果。

そして目の前で大きな声を出され、さらにはマシンガントークまで聞かされた遼果の幼馴染、そして五大ヲタクのうちの2人目。
五橋中学3年生、篠原 梓。

この2人は仲が良く、傍から見ても明らかに仲良しだということが分かるほど長い付き合いである。


キーンコーンカーンコーン────


「あ、チャイムなっちゃったよ〜……折角梓に推しキャラの尊さを教えようと思ったのに…」

「推しの尊さは死ぬ程分かってるって、事実上私がそれを実体験してるんだから……」

とチャイムが鳴ったのを残念そうに落胆しながら呟く遼果とやっと鳴ったかとでも言いたげに溜息をつく梓。


そう、ここまではいつも通り、至って平凡なヲタク2人組の毎日であった。