西園寺は、思い通りに事が運ぶことが、何よりも可笑しかった。

優子の事で、笠原良樹を心底恨んでいる。

大事な妹が良樹のせいで死んでしまったこと。

西園寺と優子は、血の繋がりはなかった。両親の連れ子で、再婚。

西園寺は、優子を1人の女性として愛していた。

大人になったら、結婚することも考えていた。

それなのに、ある日突然、目の前から姿を消した。

やっと会えると思ったときは、もう、遅かった。

大学病院の病室の上で、1人の男の腕のなかで、息を引き取っていた。

優子は幸せだったのか?

死んでしまった今、それを確かめる術はない。

二人で笑い会う写真を見つめ、ため息をついた。

西園寺の横に立つ、笑顔の女性は、本当は結愛に似てるなんてあり得ない。

可愛らしい容姿の結愛。

かたや優子は、スレンダーで背の高い、黒髪ストレートロングの、美人だった。


画像をいじって、西園寺の横に、結愛の笑顔の画像を付け足したのだ。

それは全て、社長と結愛を別れさせるためだった。

「笠原良樹、お前は幸せになんてさせない」

そう言うと、スマホをデスクにおき、専務室を出ていった。