やけに白く輝く車体が、滑らかに高級ホテルの前で停車する。




「着きました」という静かな声に、私は返事をする事もなくドアを開くとゆっくりと降りた。




年齢の割には大人っぽい藍色のドレス。
細くて高いヒールが私の足を包み込んでいる。だけど…綺麗に着飾った自分が車の窓に映って嫌悪感さえしてくる。




「莉愛!こっちだよ」




広々としたロビーに入ってすぐ、どうやら待っていてくれたらしいそんな聖の声が聞こえてきて、キョロキョロと周りを見渡すとビシっとスーツに身を包んだ聖の姿。




「待っててくれたの?ありがとう」




「莉愛一人じゃ迷子になりそうだし」





クスッと楽しそうに笑う聖は、やっぱりどこからどう見ても王子様にしか見えなくて…周りの人達の視線を集めている事に、本人は気がついているんだろうか。




「迷子になんてならないよ」




意地悪を言う聖を小さく睨んで見せるけれど、やっぱり聖は楽しげに笑っていた。




「とりあえず行こう、お爺様が待ってる」




「…うん」