「ぅ......」


目の前で眠っている小娘は、またうなされていた。


少なくとも俺が様子を見に来たときは必ず額に汗をにじませ、泣いていた。



どんな夢をみたらここまでうなされるんだ?


……俺が見舞いに来てるからか?


しかしその涙を拭ってやる理由もなく、ただただ娘を見下ろす。


......紅。


それがこの小娘の名前だった。




「あれ、土方さん。来てたんですか」


ふすまを開けて入ってきたのは総司で、こいつの腕の怪我も小娘が治した。


誰も治せと命令していないのに、自ら進んで怪我を移させた。



ざわりと胸に何かが渦巻く。


総司が来たのなら、あとはこいつが何とかしてくれるだろう。


いまだ苦しげに声を漏らす娘を置いて俺は立ち上がった。



「......少し出かけてくる」