『歴女』より『歴史オタク』の呼称が似合う、と自他共に認める光希は学生時代から地味な存在だった。

勿論、友達とお洒落なカフェで流行りのスイーツを食べたり、旅行に行くこともあったし、サークルにも入って光希なりに学生生活を楽しんだ、と思ってもいる。
でも社交的な性格でもなかったし、興味がある事も地味。更に、類は友を呼ぶの法則で友達にも派手に遊ぶタイプは少なかった。

だから合コンに行ったのも人数合わせを頼まれた数回だけ。夏に海だ、BBQだと騒ぐ同級生を羨ましいとも思わなかった。

「今年の夏はどこの発掘現場に行くか」

サークルの先輩からそう聞かれた時のほうが、よっぽどワクワクしたから。

この辺が『歴史オタク』たるところだろう、と光希自身も分かっている。

でもそれをどうとも思わなかった。だって、光希の入った考古学サークルにいる人の大半が同じタイプだったから。
歴史を愛し、夏休みには発掘現場で趣味と実益を兼ねたアルバイトをする事が当たり前だったのだ。