【side 茜】


颯太くんが名前呼びに変わった次の日。


「おはよう、佐藤さん!」


……いつもの彼に戻っていました。


え、えーっと……。


私も川島くんに戻したほうがいいのかな?


とそんなことを考えていると、彼はすぐに大きな声で「間違えた!」と言い、目を細めて笑った。


「茜だ!」


その笑顔がいつも以上に輝いているような気がして、思わずドキッとしてしまった。


できることならここで〝おはよう、颯太くん〟って自分の声で返したいけど、当然のことながら、そんなこと私にはできない。


だから……、


『うん。おはよう、颯太くん』


やっぱり今日も私はキミに手話をする。