今井律に言われるがまま、私は荷物を纏める。
私の荷物なんてしれたものだから十分もしないうちに纏められた。

今からよくも知らない男の家に不安はある。

が、この後すぐに驚かされる出来事に私の不安はすぐに消え去ることになる。


今井律は車で来たらしく、アパートの前に停めたらしい。
そしてアパートから出てすぐ現れたのは、夜で照明も少ない道路だが、黒色でピカピカの車体。
その一番前に燦々している神々しそうなエンブレムを見つけてしまう。


「これって……ベンツ!?」

免許を持ってない私でも車の前に付いているあのロゴとこの車が高級車だってのは知っている。

「まぁね。それよりも律、持ってく荷物これだけで良いの?」

今井律は私の反応も構わずに私の一つだけのボストンバックを持ちながら皺を寄せていた。


まさかのベンツに驚かされた。


「律、荷物あれだけで本当に充分だったのか?律ってファッションとかメイクに興味無いの?」

運転席に座った今井律が訊いてきた。