ケータイ小説 野いちご

冷たいキスなら許さない

恋愛不要の秘書
謝罪


あれから櫂からの連絡はない。
私にかまうのをやめてくれればもうそれでいい。
これから恋愛なんてするつもりはないから、もう今後私を傷つける男は現れない。
じくじくとした心の傷も櫂のこともそのうち忘れることができるはずだ。


しばらく住宅展示場に行くときは周りに目をやって櫂に出会わないかびくびくしてしまっていたけれど、あれから3週間以上も過ぎた今は落ち着いてきた。
東京の一等地で大きな仕事をしているはずの櫂がこんな田舎にしょっちゅう来るはずがない。

厚木に来て4ヶ月が過ぎていた。
社長から言われた目安は半年から一年。ということはあと2ヶ月で半年になる。

このまま何もなく平穏な日が過ぎて、そして静かに長野に帰りたい。
長野のフォレストハウジングの事務所で笑いながら仕事して、進さんのお店で社長の悪口を言いながら大好きなフライ定食を食べて、エリちゃんと進さんの子どもたちを可愛がって・・・静かに暮らしていくんだ。

愛だの恋だのもういらない。

友情。そんなものだけあればいい。
今では自分が子どもを授かることすら考えられない。
友人の中じゃ男はいらないけど、子どもは欲しいって言う人が何人かいる。
今の私はどっちも考えられない。自分の世話も満足にできないのに子どもを育てていくなんて・・・私には無理。

女としては枯れているかもしれない。

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