この台風の中、悠長に歩く必要もないと勇者は全速力で駆け抜けた。
のんびりしていたらその分体力も奪われる。
しかし第二の刺客はすぐに現れる事になるのであった。

ミスタードーナツまではおよそ250メートル。
先ずは家を出て50メートル行ったのち角を曲がり100メートル先に見える大通りを上り方面行に100メートル行かなければならない。

はじめの50メートルを曲がった所でそいつは現れた。
なんと向かい風である。
これまでの横風と違い見えない壁となって勇者を押し戻そうとする。
突然のことに受け身が取れず勇者は思わず吹っ飛ばされた。

「うぐっ!」

背中を強く何かにぶつける。
お陰で止まることはできたが10メートル程ロスをしてしまった。
100メートルで済むところを110メートル進まなければならない。

「そう簡単には進ませてくれないか。だがそう来なくては面白くないよなあ!」

勇者は立ち上がると再び歩みを進めた。
そう、ただ一つミスタードーナツへ行くというミッションの為に。