ケータイ小説 野いちご

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嘘のような架空の話

大晦日は香ばしいにおいがする

その年最後の日、大晦日は毎年、独特のにおいがする
いわゆるスピリチュアルな話ではなく、
嗅覚として感じられる”年末のにおい”というべきものがある。

それは、煮詰めた醤油と昔ながらの古本屋を混ぜたようなにおいで、大晦日の日は
その匂いがかすかに一日中している。

12月31日に私が朝起きてから、日付が変わり元日になって私が眠りにつくまで
その匂いは継続する。

また、正月は正月で三が日の間はたっぷりとすし酢のようなにおいがしており、
これはこれで正月のにおいである。
どこに行っても、かすかにその匂いがしており、初詣に行こうが、こじゃれた百貨店で福袋を買ってようが、その場所のにおいに混じって必ずすし酢から酸味を抜いたような奇妙なにおいがする。 

 これは、私が物心ついてから去年に至るまで毎年のことであり、いうまでもなくほとんど共感されることはない。
におい自体は独特だが、特に不快ということはなく、ああ今年もこの時期が来たんだなぁ、ということをお手軽に感じられる風物詩のようなものとして扱っている。
日付のにおいとはそんなものだ。


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