帰りも軽トラの荷台に乗り込む。行きと違って下り坂な分、タイヤが跳ねる衝撃が強く、その度に振動が伝わってきて私たちも揺れた。

 穂高は私を支えるために隣に座るよう指示すると、腕を伸ばして体を密着させた。長い一日で、疲労が滲みお互いどうしたって言葉数が少ない。

 でも疲れのせいだけかな。車酔いとはまた違った、吐き気にも似たぐるぐると中からかき混ぜられる様な気持ち悪さがどうしても続く。

 この言いしれない不安はどこから来るの?

 結局、私の質問の答えにも、穂高が突然話しだした内容についても、すべてが中途半端のままだ。

 軽トラは樫野さんの家、自宅兼助産院の前で止まった。谷口商店のわりとすぐ近くで、一軒家にしては大きくて新しい。車の音を聞きつけてか、中から人が現れる。

「おかえりなさい、ほのかちゃん、穂高くん。星は見えた?」

 迎えてくれたのは家の主ではなく理恵さんだ。続けて樫野さんもやって来た。

「ふたりとももう遅いし、うちに泊まっていきなさい。石津さんも体調が万全じゃないのもあって、泊まっていってもらうようにしているから手間じゃないわ」

「すみません、よろしくお願いします」

 私たちはまだ未成年で、ここは大人の好意に素直に甘えよう。少し前なら遠慮したかもしれないけれど、今はすんなりと頼れる。

 お父さんにも心配をかけてしまうし。

「宮脇さん、明日はよろしくお願いします」

 理恵さんは宮脇さんに向かって腰をきっちりと曲げて深々と頭を下げた。私たちの出迎えというより、彼に挨拶したかったのかも。

 宮脇さんはぶいっと顔を背けぶっきらぼうに告げた。

「いいから、横になっとけ。明日は九時過ぎに来るからな」

「はい」

 そこで宮脇さんの視線が穂高に移る。