ケータイ小説 野いちご

チート姫は時を超えた

平塚 美恵子




「平塚様!!今日もお疲れ様です!!」


「体育の時!教室から見えました!とてもかっこよかったです!」


「美しかったです!!」



ありがとう、と後輩であろう数人の女子生徒へ礼を言う。

私の名前は平塚 美恵子(ヒラヅカ ミエコ)。この高校の生徒会長をさせていただいています。
平塚財閥のトップ平塚 優一郎(ヒラヅカ ユウイチロウ)の一人娘としてその名に恥じないようにと大切に、大切に、そしてとても厳しく育てられた。



勉強はもちろん運動、水泳や陸上競技、または武術、あらゆる事を小さい頃からずっとこなしてきた。
普通ならばそれが嫌でグレてしまうのであろうけれど、私は違った。

辛い以上に愛に溢れた両親がいつもそばにいてくれたから...。

そしてそんな私をみんなが口を揃えて言う、“チート姫”と。

あらゆる物に恵まれて、守られてきた私は確かに信頼出来るような友達はいない、みんなに距離を置かれているから。ましてや時折小さなイタズラをされることだってある。

だけれどそれ以上に両親や色々なことに恵まれた生活を私は不幸せだなんて1度も思ったことは無かった。
けれど1つ、私はある問題に悩まされていた。


「...はぁ」



「どうしたんですか?先輩」



「いえ、なんでもないよ、気にしないで」


「そう、ですか」


それは...“ストーカー”だ。
最近どこにいても誰かしらの視線を感じる。
家の中ではそんなことは無いが外に出るといつも、だ。
たまに近くの本屋へいつもと違い歩いていってみたりした時なんて、後ろの方をずっと付きまとわれている気配がする。

私も人間で、流石にそんなことが何週間も続いていると恐怖心というものが溢れてくるもので、あまりよく眠れていなかった。


「はぁ...」


考えれば考えるほど色々なことが頭の中を駆けずり回ってマイナス思考になってしまう。


「考えるのはやめましょう...さて、そろそろ終わったから私は帰ろうかしら」



「あっ!お疲れ様でした!!」


「ありがとう、貴方ももう終わったでしょう?気をつけて帰ってね」


ひらりと手を振って生徒会室を出た。
はい!と部屋の中からその生徒の声がした。微笑ましい。



昇降口で外靴へ履き替えていると少しふらついてしまった。


「っ...いい加減きちんと睡眠を取らないとね」


小さく頭を振り遅いくる眠気を取り払った。
昇降口を出るとチラホラ、と下校途中の生徒が目に入った。
それは1人であったり、友達同士、恋人同士だったり...少し、正直羨ましい、なんて思ってしまった...





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