二本の高いビルの間の空が巨大なスクリーンみたいになって、そこに夕空を映していた。真っ白の雲に夕焼けが刺さってグルグルに混ざり、その境界は酷く曖昧だ。
彼は七号館から見たこの空を、絵筆を洗ったみたいって言ってたけど、私はそんなこと思い付かなくて、オレンジソーダ味のキャンディーに似てる、なんて幼稚なことしか言えなかった。きっと彼の見ている空は私のよりも何倍も色鮮やかなんだろう。悔しいけど。