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望んでいたわけじゃない。運命から逃げようとして失敗しただけ。
逃げた? 違う。最初から逃げ場所なんてなかった。
檻の中で見つけた醜い者。意図してそうしたわけじゃない。私は同じ人間だと訴えたはずだ。
どうして、どうして……。
「飛び込んでしまおうか」
不意にカサカサになった唇が言葉を紡ぐ。声に出すと本当にそうしたくなるから不思議。
眼前に広がる海は、晴天の空に守られるようにキラキラしている。みんな真っ青で、入道雲の白が浮き出て少し違和感。
波の音が私を責めるから、全部が自分のせいに思えて悲しくなる。
友達が欲しくないわけじゃない。一人でいたいなんて嘘。
「嘘だよ、全部」