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朝目を覚ますと独特の倦怠感と、体の痛さを真っ先に感じた。


「……?」


次いで感じるのは私の物ではない他人の香り。

きっと柔軟剤の匂い。淵くんの匂い。


「っ!!」


それに気づいた時私は飛び起きた。

完全に頭が覚醒しないままに動き始めたため、脳が揺れるような気持ち悪さを感じる。

でも、そうも言っていられないのは着ている服は私の物でもなく淵くんの物で、目覚めた場所も淵くんの家で。

つまり、あのまま泊まることとなったのだが肝心の家主の姿が見えない。

まだ眠い目を擦りながら辺りを見渡すとメモが一枚置かれている。

どうやら彼が書いたものらしく、男の子らしい何処か乱雑さが垣間見れる字が目に入る。内容は『一限から大学に行く』事と『鍵はテーブルにスペアを置いている』事が記されていた。


「あとは勝手にしてね。って……」


起こしてくれればいいのにと、申し訳なさと戸惑いを覚えたのだが、今更どうこう出来ないので諦めて被っていた掛布団を畳み始める。

昨夜はベッドを使う、使わないの押し問答の末、二人とも雑魚寝をする事になったのだが


「う……」


思いだそうとすると照れくさいやら恥ずかしいやらで、のたうち回りたくなるような気持ちに陥る為、考えていた事を頭の隅に追いやった。

只でさえ、同い年の男の子の部屋に泊まってしまったのだ。いつも通り装う事さえ厳しい。

そう思えば彼が先に出かけてくれていて良かったのかもしれない。