帰って、胡桃に電話をした。

少女漫画の主人公なら、泣きながら帰るんでしょう。それで、友達に慰められる。んだろうな。

『もしもし、胡桃?』

「お、雪乃!どうだった?」

息を吸う。



笑いながら、



告げる。


『いらないわ、あいつ。』



「そっか。」


素っ気なく、なんかじゃない。想像出来る。

私と同じで、胡桃も今、笑ってる。



冷めたような笑顔で。笑を深めて。


『未練なんて、笑っちゃうほどない。

私が待ってるってメッセージ入れて。返信もしないで、ほかの女といるってことは。

きっと、もう付き合ってなかったってことでしょ。』

「そっか。浅岡、落ちる所まで落ちたな。

なんなんだろね。」

胡桃と話してると胸の内で燻っていた怒りがすぅーっと浄化されていく気がする。

『まぁね。』

「日向に連絡入れた?」

『まだ』

「ソワソワしてたよ、あいつ。

連絡してやんなよ?」

『わかった。じゃあ、また明日。学校で。』

「うん。その時にまた3人で復讐考えよう。」

『ありがと。』

ツーツーツー…

無機質に、終わりを知らせる音が。


私と樹…、浅岡の関係のようで少し笑えた。

悲しみなんて、存在しない。

怒りだけだ。