ケータイ小説 野いちご

デキる女を脱ぎ捨てさせて

9.空気を読む気がない

 駐車場で社用車に乗り込み開口一番で「取りに行きたいものがある」と言われ、着いたところは何やら高級そうなマンション。

「降りて。」

 嫌な予感がしつつ降りると社用車はハザードを点けて停められた。
 そして一台の車と入れ替えて駐車場に停められた。

 入れ替えられた車は車に詳しくない私でも超がつく高級車だということが分かるくらい有名な車だった。

「あ、あの。これは………。」

「私の愛車だよ。」

 えっと……。だって前は案外堅実な人なんだなって見直すような車に乗っていて……。

 私の戸惑いを読み取ったような倉林支社長がククッと笑った。

「この車はここの通勤では乗らないようにしてるんだ。
 厄介者が乗るには嫌味でしょう?
 今回は本社に出張だからね。
 たまには乗ってやらないとな。」

 厄介者については返答に困るけど……。
 似合い過ぎていて確かに嫌味ではある。

 黒に近い深いグレーのボディは滑らかな曲線を描いており、自分の顔が映りそうなくらい輝いていた。


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