少し落とされた照明と、クラシックが流れる店内は、わずかな談笑と食器やグラスの音が小さく鳴るだけの、落ち着いた雰囲気の中で。

何故か私は御園生さんと向かい合って、フルコースを食べていた。



あれから――――――。

店を出た彼は、再び私をタクシーに押し込み自分も隣に乗り込んだ後、運転手だけに行き先を告げ、隣で息巻く私の言葉は無視したまま……、

行き付けらしいブティックを訪れ、店員に一言二言声をかけると自分は店のソファに腰掛け、ノートパソコンを取り出し、熱心にキーを叩き弾めた。

私はというと、半ば引きずられる形で奥のブースに連れていかれた。

「気に入らなかったか?」

ワイングラスを片手で揺らすのが様になっている御園生さんを、つい恨めしげに見てしまう。

「料理ですか?それともこの格好ですか?それとも……こうしている状況ですか?」

私の言葉に、彼はクスリと笑った。

「……全部だよ」

この自信は一体どこから来るのだろう?