ケータイ小説 野いちご

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退治屋・地味子は王子様に狙われる

第1章
妖退治

展示室のドアを開けるとそこには誰もいなかった。
けどさっきとは違い、この部屋には濃い妖気が充満していた。

「キッツ……」

ここにいるだけで身体が重くなってくる。
きっとこの部屋の近くに妖がいる。
私は神経を研ぎ澄ませて妖の気配を探っていく。

奥の部屋へと続くドアの前に差し掛かったとき、ビリッとした妖気が肌を撫でた。
間違いない、この部屋だ。
微かに開いたドアの隙間から妖気が流れてくるのがわかった。

意を決してドアを開けるとぶわっと妖気が流れてくる。
そこは白い壁に囲まれただけのシンプルな部屋だった。
その中心にいたのは黒いもやに包まれた一人の男性。

……海野さんだ。
まだ私には気付いてないみたい。
海野さんはドアに背を向けた状態で目の前にあるショーケースに手をかざす。
そのショーケースには碧色の宝石の付いた指輪が飾られていた。
海野さんの手から薄暗い光が放たれる。

ドカンッ

大きな音と共にショーケースに亀裂が入った。
さっきの音はこれだったのか。

まさか海野さんはこの指輪を盗もうと……?
様子を伺っていると海野さんの手から第二波が放たれる。

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