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退治屋・地味子は王子様に狙われる

第1章
王子様の素顔

黒崎理人のエスコートで休憩スペースに到着。
後はこいつがパーティー会場に戻れば海野さんを追うことができる。
それにしても海野さんはどこに行ったのだろう?
一番怪しいのは展示室の奥の部屋だけど。

私は休憩スペースにあるソファに座って黒崎理人がいなくなるのを待つ。
けれど黒崎理人は一向に会場に戻ろうとしない。
ここには私と彼の二人きり。
沈黙がこの場の空気を支配する。
その沈黙を破るように私は口を開いた。

「会場に戻らないのですか?」

「うん。君が気になるからね」

黒崎理人は急に砕けた口調になる。
私が気になる……?
心配してくれている、とか?

「それはどういう意味なのでしょうか?」

「そのままの意味だよ」

そう言いながら黒崎理人は少し離れた場所からこちらに近づいて来る。

「君、名前は?」

ソファに座っている私の目の前で黒崎理人は立ち止まった。
彼の表情は非常ににこやかだ。
心なしか楽しそうにすら見えてくる。

「姫野舞姫です」

私がそう答えると、彼はにこやかな表情を崩さずにこう言い放った。

「それ偽名だろ?」


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