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退治屋・地味子は王子様に狙われる

第1章
退治屋・地味子の日常

「いいか真白。ひと通り資料に目を通せばわかると思うが今回お前が変装するのは姫野舞姫(ひめの まき)という16歳の少女だ」

目の前の椅子に腰掛けて話しているのは私の父、巫雅斗(かんなぎ まさと)だ。
分厚い資料をペラペラとめくりながら要所だけかいつまんで説明していく。

「彼女は大手企業、姫野グループの娘さんではあるが幸いなことに両親は海外出張、更に娘は一度も公の場に姿を見せたことがない。おまけに歳はお前と同じ。変装しやすいだろう?」

「まぁね。別人だってバレなきゃいいんだし、話さえ合わせればメイクは薄くても問題ないね」

私は父から手渡された資料をめくりながら答える。
外見はどうとでもなりそうだけど、姫野舞姫の家族構成や趣味なんかはしっかり頭に入れておかないと。
話しかけられたりでもしたら大変だもの。
大まかな設定を頭で構築しながら私は冷めかけた紅茶を口に含んだ。

「真白」

名を呼ばれて父の顔を見る。
父の表情は先程よりも真剣なものだった。

「お父さん?」

「今回予知したものは黒崎家主催のパーティー会場に現れる妖なのだが……」

「だが?」

「それ以外にもお前の人生を左右する何かが起きそうな気配もあってな。何はともあれ気を引き締めて臨んでほしい」

「うん、わかった」

父の表情が和らぐのを見て私も気を緩める。
私は紅茶をいれなおす為に席を立った。

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