本気で好きになった相手は、私が好きになる前から私のことを好きで。
その上好きでいてくれた。
これ以上ない幸せ。
両想いになれることの喜び。
本気の恋は苦しいことばかりじゃないって教えてくれた。
苦しい恋もあるけれど、こうして幸せな恋もあるのだと。
先輩に好きって気づいて欲しくて、頑張って行動を起こしていた日々。
でもその行動は、結局私が先輩のことを本気で好きになっていったものとなった。
それでもいいんだ。
そのおかげで今があるから。
ーー「……晴人先輩!」
「なんだよ。」
「プロポーズってやっぱり男の人からするものなんですかね!?」
「結婚話なんて早いんだよ、バカ。」
「えー……、じゃあ私が離れていきますよ?」
「へぇ……莉乃が、俺から離れられると思ってんの?」
ニヤリと、意地悪そうに笑う晴人先輩。
もう私は捕らえられてしまったのだ。
晴人先輩が私を好きになったその日から。
ずーっと、私が晴人先輩の掌で転がされていたんだ。
でも、それでも結果オーライってことで。
今が幸せならそれでいいじゃないかって、呑気な私はそう考えるんだ。
「晴人先輩!
それならこれからもずーっと、私のこと愛してもらいますからね!」
私のことを好きになったからには、とことん愛してもらわないと困るから。
「……そうだな。
莉乃がもう嫌だっていうほど愛してやるからな。」
ほら、こんな面倒くさい私でもやっぱり晴人先輩は私が欲しい言葉をくれる。
そして、行動に移してくれる。
だから今日も、甘いキスが欲しくて。
そんな私の心を読み取ったかのように晴人先輩の顔が近づいてきて……
今日もまた、甘いキスが落とされた。
END