ど、同情なんかしないんだからっ。

そっちが、悪いんだからね。

その時、騒ぎを聞きつけてかうちのクラスの後ろ側のドアがガラリと開いた。

その扉から、走って飛び出してきたのは時田くんだった。

彼と目が合うと、なぜだろう、少しほっとした。

本当はこんなところを恥ずかしくて誰にも見られたくなんてないはずなのに。

彼のあどけない、大きな瞳が私と成田くんを交互に見て、どんどん表情が険しくなる。

「時田くん、来て、早く。一緒に来て」

左手で、自分の胸元を隠して、右手で時田くんの手を掴んで、走り出した。

本能的に、時田くんをここに、この場所にいさせてはいけない、と思ったから。

「ごめん、時田くん。私、気分が悪くなって、保健室についてきて」

「・・・・」

時田くんに、こんな苦しい嘘が通用するわけがないのは、わかっているけれど、今はただ彼を連れて、この場から離れたかった。