ケータイ小説 野いちご

秘めた言葉

好き



「ねぇ、今度近くで大きい花火大会あるじゃん?
今年も一緒に行こ!」



学校帰り。


方向が一緒で、週に一回お互いの部活のオフが被るので、一緒に帰ることになっている。



「いいよ」


「やった!」



自分が抱いている感情を、そのまま返してもらおうだなんて、そんな甘ったれた事なんて考えてない。


それでもまだズルズルとその感情を引きずり、カップルが集まるところにわざわざ二人きりで行こうとするのは、私がどうしてもその感情を諦めきれずにいて、いつまで経っても私の誘いを断らないそいつの優しさに甘えているだけ。



どうせ、告白する勇気なんて出ないくせに。




「去年はさ、ゆっくり行き過ぎてあんまり良く見えないところになっちゃったじゃない?
だからね、今年はもう少し早めに行きたいの」


「任せるよ」


「じゃあ、その日の夕方4時半に私の家来てね」


「わかった」



私も高校生になったんだし、今年の花火大会は浴衣で行ってしまおうか。


ただ、周りに良く見せたいだけ。


浴衣を着て男女二人で歩いていたら周りの人が誤解をしてくれるかも、なんて。


都合のいい妄想ばかり先走る。




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