「……分かってますよ、そうぎゃあぎゃあ騒がなくても」

俺は小言にうんざりしながら頷き、家を出た。ここもそろそろお払い箱になるかな……と思いながら。

所詮さすらいの旅人である俺に優しい人間なんて、ひとりもいやしない。

「あーあ、やってらんね。サボっちまおうかな」

ポツリと呟いて、それもいいか、と思い直す。そのまましばらく歩いていると、崩れ落ちた瓦礫が見えた。

噂によると、この瓦礫は昔城だったらしく、何か地震でも起きて崩れたらしい。

「よう」

不意に声が聞こえた気がして、俺は振り返った。