※久世視点



俺には勝手に決められた婚約者がいる。顔合わせをしたときから、互いに気が合わないことに気づいてしまった。

それからというもの、顔を合わせば嫌味を言い合うかほとんど会話をしない。そのくらい俺と婚約者の雲類鷲うるわし真莉亜まりあの仲は最悪だった。


互いの誕生日には適当なものを贈りあって終わらせているが、婚約者という肩書き上時折会いにいかなくてはならない。

俺も彼女も婚約を解消することを望んで入るが、花ノ宮学院にいる以上はそれがなかなかできないのだ。


真莉亜の伯父が理事長を務めており、俺との婚約の話を持ち出したのは理事上の妻である真莉亜の伯母だ。だから真莉亜も今は反論ができないのだろう。
 

真莉亜の伯母は真莉亜に対してかなりきつく当たることがあり、自分に従わないことを許さない人なので在学中に逆らうのは厄介そうだ。

俺の両親もこの婚約には乗り気で、俺の意見を聞く気がなさそうなので、真莉亜から解消を言い出してもらえないものかと日々悩んでいる。


相性が悪いのに結婚なんてしたら、互いに毎日が地獄だ。

そして、今日は真莉亜との約束の日。

最近はなにかと理由をつけて会っていなかったが、一年に一度くらいは会わなければならない。俺らにとっては義務みたいなものだった。高等部にあがったら、今以上に会わなければならないのだろうか。