何故私が中等部二年にして、そのようなことを知ってしまったのかというと家にある温水プールで溺れたことがきっかけだった。


「うぐっうぼぼぼぼぼ」

無残な声を上げながら足がつって溺れていた私は、ぶくぶくと自分から泡が漏れていくのを水の中で眺めながら、走馬灯のようにかつての出来事を思い出してしまったのだ。


その昔、私は滝川千歩という名前で高校三年の夏に友達と行った海で溺れて死んだのだ。


そこから奔流にのまれるように私の頭の中に滝川千歩の十八年分の出来事が流れてきて、意識を失った。

滝川千歩は一般家庭に生まれて、女子高生をエンジョイしていた所謂リア充のグループに所属していた。

けれど、残念ながら一人だけ彼氏なし。


「このままJKの夏終わるのやばくね?」

友達の言葉から、急遽海に行くことになりはしゃいでいた前世の私はそのまま海に溺れて死んでしまったのだ。

あの時のことを思い出すと恐怖で心が凍りそうだった。



嫌だ。怖い。忘れたい。でも、忘れたくない。だって楽しいことだってたくさんあった。消してしまいたくない。


ーーーー私の前世の記憶。