私は何も知らずに、己の人生がイージーモードだと信じ込んでた。

雲類鷲(うるわし)家の令嬢として、父親には欲しいものを常に与えられ、どろどろに甘やかされ守られ、わがままも許されてきた。


母親には淑女としての振る舞いを仕込まれ、学院内では女子の憧れの存在にまで到達していた。


『紅薔薇の君』、『紅薔薇の真莉亜様』と呼ばれており、その名の由来は美しいけれど、気位が高く触れると危ないということからではないかと噂されている。


思い通りにいつも事が運び、反発してくる人間もほとんどいない。


まるで自分中心で世界が回っているようだった。


けれど、人生にイージーモードなどは存在しないと私は唐突に知ってしまった。


ここは私の知っている漫画の世界と同じで雲類鷲 真莉亜(うるわし まりあ)は、殺されてしまうのだ。




……だけど、ちょっと待ってよ!

私、死ぬのなんて絶対嫌なんですけど!!