「虹、何やってんの?」



私の家の前。

整った顔を少しだけしかめて見せる彼の、私への第一声は、久しぶり?でも元気だった?でもなく、呆れているようなものだった。


暮れ時の空気が少しだけまずく感じて、思わず苦笑いしてしまいながら、どこかほっとしている自分もいる。



気まずくなる、と思っていた。



王子様みたいな笑顔のしたに苦しさがにじみ出ているような、そんな表情を浮かべられたら、私はどうすればいいか分からなかっただろう。


だから、ただ私に呆れているだけなら、彼が私といて苦しくないなら、よかった、なんて思いながら、彼に手をふって近づく。