月曜日。


小さく音をならしつづけるお腹をなでながら、お弁当のおかずのことを考えていたら、四限終わりの教室に水嶋くんが現れた。


あれからしばらく会うことがなかったのに、ゆるい表情でひらひらと手を振りながら、私の席にやってくる。

美優は、水嶋くんの姿を見るなり、私今日も用事あるんだった―、なんてまた白々しい嘘をついて、どこかに行ってしまった。




溜息がでそうになったけれど、この前、感じ悪いって言われたし、今日は我慢する。



「枢木ちゃん、こんにちはー」

「…こんにちは」



水嶋くんは私のことを、枢木虹、とは呼ばずに、呼び方は枢木ちゃんってゆるいものに戻っていた。


クラスメイトの女の子たちの視線は今日も今日とて痛くて嫌だ。


だけど、水嶋くんはひとつも気にせず、ゆるりと笑っているから、私も愛想笑いを浮かべるしかなかった。