「高校生って荒れてますよね!」

高校という職場につき、はや5年。
国語担の前田哲子はそう語る。

シーー( ̄、 ̄*)ーーン
静まり返る職員室、前田を注目する色とりどりの教員たち。

赤いジャージを身につける体育教師通称『レッド柏木』こと柏木巧未は言う。

「そりゃ、成長期ですしね。もう勝てませんよ。」

そう言い残し、目を見開くほどの白紙プリントを運んで職員室から立ち去った。

「別に、全員は全員荒れてるわけじゃないと思いますけど」
「𐀑 ꪾチュー」

保険医の長谷川聖理奈は他人事のように前田に言う。保険医はそこまで楽なのだろうか。それにさっきから小動物のようにやたらと野菜ジュースと飲み続けている地理担の山田和も無言で同意した。

何かとこの二人は人間味が足りていないため、前田は気にするだけ時間と労力の無駄だと捉えている。

「そうそう、西川先生のクラスの古川さんはいいですよね!」

「「確かに」」

前田の一言に長谷川と山田が同意する。
ただ、長谷川の心の中では、自分の発言を前田が快く無視したと言うことに疑問を持っていた。

「ありがとうございます」

いかにも真面目そうな女性、英語担の西川恵理子は(長谷川の心情も知らずに)そういった。

「見た目も可愛いですしね!」

遠くの方に座っている今年入ってきたばかりの新人、遠藤智久が、茶毛をふわふわと揺らしながら言う。

「黙れ遠藤、お前は新人なんだから仕事でもしてろよグズ。」

「えっ!?怖!な、なんで?先輩たちも.............」

前田は遠藤が嫌いである。
見た目は女の子顔負け、いやなんら顔勝ちなのだが.............と言うくらい可愛らしい容姿と、なんでもそつなくこなす才能を持ち合わせていた。

「(「 ΦːːːːːːΦ)「 シャー」

威嚇の目を向ける前田。

「確かに綺麗な子ですよね」

西川は(前田の気も知らずに)そう言う。

「頭もいいですしね。」
「第一志望は東大でしたっけ?」

長谷川の発する言葉に遠藤が言う。

「第二が東大でしたよ」

前田が答える。

「え?じゃあ、アメリカ行くってことですか?」
「はあ?あんた、煩いのよ。可愛いからって手出したら犯罪なんだよブァアカ!」
「は、はあ.............」

前田は遠藤が嫌いである。


ガララララ
「失礼しまーす」

職員室に一人の少女が入ってくる。

「お、噂をすれば!」

前田が言う。

「えぇ〜噂してたんですか〜?」

やめてくださいよ〜と、照れるよに少女は言う。

「山田先生、辞書返してください。」
「ん」

生徒に辞書を借りていたのかと言う考えは山田には通用しない。
過去最高で一年で30回借りたこともある。

「ありがとね」
「いえ」

次は持ってきてくださいね。もう言う少女を、遠藤はじっと見つめていた。

パッっと目が合い、ヘラっと少女が笑う。
遠藤もつられてヘラリ。
前田が後ろで殺気を出す。





さて、はじめまして。

古川あさひ18歳。
セーラー服を見にまとう、見ての通りの美しい娘です。

顔が殺気と違って死んでるって?
見間違い見間違い。
絵柄は毎回変わっちゃうの。成長と同じようにね。あ、メタ発言?ゴメンゴメン。

「(<●>ω<●>)じー」

(;・ω・)ハッ!

気がついたら、山田がじっとこちらを見ていた。
おっといけない、顔が死んでるんだったΣ\( ̄д ̄;)ォィォィ

私は先生たちの機体に答えないといけないのに!


ガララララ
「失礼しましたー」

流石に居心地が悪いと言うか、危機感があったから、すぐに職員室を出た。

コツコツコツ

上履きで廊下を歩く音は好きだ。
特に職員室前だと、みんな静かで心地いい。

そんな中で異声を発する者がいた。

「あーっさひ!!」

ぎゅっと後ろから抱きつかれ、ビクッと(わざと)した。

「ゆうちゃん!おはよう」
「おはようあさひ」

ゆいちゃんとこ渡辺唯人は私の幼馴染である。ふさふさの髪の毛は少し茶色がかっており、クリッとした二重の少し垂れた目と、すらっと長く伸びた鼻。

つまりイケメンだ。

「あさひ?」

私のことをじっと見つめるゆいちゃんはもはや天使。いや、天使の中の天使!

私は、ゆいちゃん(と先生)たちの前ではできるだけ可愛くいたいのだ。

キーンコーンカーンコーン

予鈴がなった。

勉強嫌いなゆいちゃんはしかめっ面になって、私をサボり仲間にしようとする。

もちろん断るけど。

「あーさーひー、サボろ?ね?」

「ダメ、唯ちゃんH大学行きたんでしょう?だったらちゃんと勉強する!」

「いいもん!テニスの推薦で行くもん!」

テニス部エースの唯ちゃんは駄々っ子のようにそう言う。

全く可愛いもんだぜ。

「いいから教室いこ?」

「.........うん」


うん、可愛い。