ケータイ小説 野いちご

難病が教えてくれたこと

第16話

【中矢裕side】
3ヶ月が経って少し肌寒くなってきた。
叶夢も寝返りを打ったり数歩匍匐前進したり成長している。
「叶夢〜」
「うあー」
李那が呼んで叶夢が李那を探して匍匐前進。
もう見慣れた光景。
李那の体は徐々に蝕まれて行く。
立とうとしただけで腕の力が抜ける時がある。
「あー」
李那のところまで行って抱っこをせがむ叶夢。
「…だんだん言葉話すようになるね。」
「そりゃあそうだろ。」
李那は最近窓辺で遠くを見つめるようになった。
ぼーっとした感じ。
叶夢の声でハッと我に返っている感じだ。
李那のお母さんからも少し心配そうに相談を受ける時がある。
「…裕くん…」
「はい。」
今日も李那のお母さんに呼ばれて廊下へ行く。
「ずっと家の中にいるからなのかもしれないけど、あの子顔色悪いのよ。」
「…まあ、それは俺も感じてましたけど…」
「気分転換に2人で散歩でも行ってきたら?
叶夢は私が見てるから。」
…確かに、李那の気分転換になるかもしれない。
「今から連れていきます。」
「分かったわ。叶夢はおばあちゃんが見てるわね。」
ふふふっと笑いながら叶夢の元へ歩いていく李那のお母さん。
「李那。」
「…ん?」
「散歩でも行くか。」
「え?」
李那のお父さんから外用の車椅子貰ったんだよな。
これで外へも行ける。
「…まあ、いいけど。」
よっこいしょって立ち上がろうとする李那を止めて、外用の車椅子のある玄関まで行く。
李那にとっては玄関自体久しぶりだろう。
「ん、移動完了。」
「さすが介護士。」
介護士自体はまだだっつーの。
就職先が介護ってだけだ。
寧ろ李那で練習している感じだ。
「行くぞ〜」
「うん。」
玄関を開けると外に出た。
李那は久しぶりの外に少し喜んでる。
ウキウキ気分なのが見て取れる。
なんの宛もなくフラフラ歩いていると海澪ちゃんと柊と遭遇。
「あ、リア充がいるよ、裕くん」
「そうだな、リア充がいるな。」
じどーっと海澪ちゃんと柊をみつめる李那。
その視線に気づいたのか海澪ちゃんがこちらまで来る。
「ちょっと李那!何その目!」
笑いながら李那に抱きつく海澪ちゃん。
「なんか青春してるなあって。」
「まあね。」
久しぶりの海澪ちゃんでもある。
李那はやっぱり嬉しそうに笑う。
…そういえば最近蒼空見ないな…
海澪ちゃんが車椅子を押して近くの公園に入っていく。
楽しそうに会話する声が聞こえる。
…うん、やっぱり連れ出して正解だったな。

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