「おに?」
「そ。ほら」
言って、その人が私の首筋に触れた。どくりと鼓動の音が頭に響いた。
そこには確かにある、二つの傷跡――牙の跡。
ちをすわれた。
「あ……っ!」
背中に走る痛み。何? 何があった?
「動くな。お前、死ぬレベルの出血してたんだ。――って」
「………」
急に起こした身体は支えられなく、倒れこんだところに腕があった。
「言うこと聞けよ」
呆れ気味に言われ、悔しさに顔を歪めた。
「……別に私、助けてなんて呼んでない」
……取りあえず、逃げることは無理みたい。全然動けないよ。
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