……どっちの差し金だ?


病院を出て、胡乱(うろん)に思った。


澪とその父は小埜の血統であるが、相応の力はない。


このままだと、澪の祖父で現当主である、小埜古人(おの ふるひと)で小埜家の稼業は途絶える。


小埜家は、陰陽師の大家、影小路の流れを組む陰陽師一族だ。


だが、それも抗えない時の流れか。


――恐らくはその使役が、俺を尾行(つけ)てきている。


真紅の血を吸ったことがバレたか?


いや、それならあのじじいなら正面切って殴りこんでくるだろう。変に思われた程度か。


……外の空気がすきだ。


閉じ込められていた時間が幼さの大半であるからか、ただ固定された空間の中にいない時間がすきだ。


夜の散歩で――