「――――っ⁉」

血が、逆流する。

いきなり襲って来た感覚に、胸元を摑んで膝を折ってしまった。

場所が院長秘書室だったのは幸いか。病棟でこんなことになっていたら……。

今は誰もいない。院長である澪の父も、澪も、院長秘書も。

土曜日の昼の少し前の時間、一人で雑務をしていた。

な、んだ? これは……。

血が焼かれているようだ。思わず咳込んでしまう。

手で口を押さえようとして、はっとした。