そうだ。眠る意識の前。


何かに襲われて斬りつけられて――殺されかけて、吸血鬼に助けられて、そして、血を求められて――そんな夢を、見ていた。


「……ほんとう…?」
 

大きく目を見開き、見知らぬはずの青年を見つめる。


知らないはずなのに、名前がわかる。彼が誰だか知っている。


「……れい………?」
 

そんな名前で、


「そうだよ」


「黎、明……の」
 

そんな意味で、


「憶えてるじゃないか」


「……私、死ななかったの………?」
 

自分は確かに、この人に命をあげたはずなのに。


「死ぬよ。俺が血をもらうからな」