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昼休みが終わる前に。

【第1章】旧校舎が取り壊される前に





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ふいに、リビングの固定電話が鳴った。


お父さんとお母さんは仕事に行っている。いつもはおばあちゃんがいるのだけれど、先日から体調を崩して入院しているので、今は誰も家にいない。


私が出なきゃ……


そう思っても、全身がだるくてなかなか起き上がることができない。


私はいつも疲れていた。


いくらしっかり睡眠を取っても、朝起きて、これから一日が始まるのだと思うと、それだけで疲れてしまう。


実家が経営しているスーパーで働いているのだけれど、六月に入ってから謎の倦怠感はさらにひどくなり、働く気力が湧かず、ここ一ヶ月半ほど一度も出勤していない。




電話のコール音がいっとき途切れ、三十秒ほどしてから、またすぐに鳴り始めた。


何か大事な用なのかもしれない。


今度こそ出なきゃ。


私はベッドから這いずり出て、重い身体を引きずりながら階段を降りた。リビングで鳴り続けている電話を手に取る。



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