水曜日

『やっぱ、牧村さん良いよね~、あれでフリーって有り得ないでしょ』

本日ランチ後の女子トークの話題は、案の定、昨夜の食事会。

『そう?ちょっと顔が良いだけじゃない?』
『何言ってんのよ、美園、あのスマートな会話と女性に対する紳士的な振舞い、周りの男と比べ物にならないよ…お店の椅子に座るときだって、スッて椅子引いてくれたの見た?』

興奮気味に熱く語る篠原さんとは対照的に、相変わらず興味無さそうにクールな反応の美園。

結局、牧村さん主催の食事会には、同僚の篠原さんと去年入ったばかりの香織ちゃんを連れて行ったらしい。

『確かに、噂通り優しいですよねぇ?私にも、お店の中で段差のあるとことか、さりげなく「気を付けて」って手を貸してくれたりして…何かぁ、大人の男って感じ』

同じく香織ちゃんまで、食後のゼリーを口にしながら、目がハートになっちゃってる。

『それって、まさにホストじゃない?』
『もう!美園ったら』
『あら、本当のことよ、私は逆に女慣れし過ぎて、絶対彼氏にはしたくないタイプね』
『牧村さんは、恋人出来たら、一途になるんですよ、きっと』
『甘いわよ、香織ちゃん、だいたい恋人いないって言うのも、怪しいもんよ』
『えぇ~もしそうならショックぅ~』

大げさにがっかりしたそぶりを見せる、香織ちゃん。

それでも、行けなかった同僚たちは皆、”羨ましい”と口にし、次回は是非に!…と切望する。