月曜日

『どうすんのよ、萌?』

朝の女子更衣室。

社会人として基本中の基本である朝の挨拶も端折った、美園の第一声がこれ。

『…どうしましょう?』

身から出た錆とはいえ、我ながらとんでもない嘘をついたものだと、今更ながらに後悔している自分。

あれから、もう話はついたとばかりに、各々の友人に呼ばれては、それぞれ別々のテーブルに移動し、そのうち始まったビンゴゲームやら懐かしのビデオ上映などで盛り上がり、あっという間に、会はお開きに。

気づけば、一緒にいたはずの美園まで、いつのまにかいなくなっていた。

『まぁ、あれね…琉星だっけ?彼に来てもらったら?』
『美園、冷たい…っていうか、なんで、昨日と同じ服?』
『ちゃんとシャワーは浴びてきたわよ?』
『問題なのは、そこじゃなくて…』
『萌、そういうこと、気付いても知らないふりするのが、大人の女性よ』

目の前で、なぜか昨夜と同じ服から、惜しげもなく美ボディを見せて、我が社の見慣れた制服に着替えている美園を軽く睨みながら、口を尖らせる。

どうやら昨夜の同窓会で、美園とは明暗がくっきり分かれたらしい。

その美しい首元に、ちらりと見える赤い刻印については、敢えて追及しないことにしょう。

制服に着替えた美園は、車内履きのパンプスに履き替え、ロッカーを閉める。

『さすがに、わかったでしょ?ゲームの中でいくら甘い言葉囁かれたって、リアルなピンチにはその男、何の助けにもならないって』

そんなことは充分わかってる。