日曜日

『ふ~ん…時枝君とキスを…ねぇ』

昨日と打って変わって、気持ちのいい秋晴れの日曜日。

光あふれるテラス席で、数種類のカレーとナン、他にもアラカルトな数十種類の料理がブッフェスタイルで食べられる、人気インド料理店のランチを食べながら、意味あり気に視線をよこす美園。

『信じてくれる…の?』
『嘘なの?』
『もっ、もちろん嘘じゃないけど…』

元々会う約束をしていた美園に、意を決して、昨日までのことを告白するも、あっさり信用している親友に、少々面食らう。

『美園…驚かないの?』
『充分驚いてるわよ、さすがにキスまで…とは、思ってなかったし』
『そこ!?』
『なかなかやるわね、アイツ…ちょっと見直しちゃった』

ちぎったナンを口に入れながら、何故か拓真君に感心しきりの美園。

その口ぶりから、美園が私の企てた計画に既に感づいていたことに、今度はこちらの方が驚く番だった。

『いつから気づいてたのよ?』
『いつから?う~ん、萌がなんかコソコソ動いてるなって思ったのは、月曜からだけど…』
『そんな早くに??』
『相手が時枝君だって確証持てたのは、一昨日…あんたが仕事中に血相変えて書庫に向かった時かなぁ』

”最もその前から、怪しいとは思ってたけどね…”と、美園。

その類稀なる洞察力に感心しつつ、元はと言えば、美園が先週末の同窓会で言い出したことが発端だったことを思い出し、どうにも腑に落ちない。